「不安」「心配」「悩み」は分けて考える

不安

人の心を苦しめる言葉として使われる「不安」「心配」「悩み」
私たちは普段この3つを無意識に使っています。

時にはクロスした意味で使うこともあるでしょう。
しかしこれら3つは微妙にニュアンスが異なります。

混同してしまうと本来は不安として考えるべき事象を悩みとして捉え
負のループにハマることになります。

本記事は
・「不安」「心配」「悩み」のニュアンスを理解し
・適切な対応を取れるようにする
ことを目的とします。

「不安」「心配」「悩み」の違い

最初に3つの違いを図で解説します。
不安と心配は似た意味なので「不安」「心配」↔「悩み」として捉えて下さい。

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上に行くほど不確実性が高く、自分の外側の問題です。
例えば
・なんとなく将来が不安だ
・老後の資金が心配だ

逆に下に行くほど現在起きている内側の問題です。
例えば
・今後の進路について悩んでいる(※)
・恋人との関係が上手く行かず悩んでいる
※漠然とした不安ではなく問題を自分事として捉えている

全体像が分かったところで
具体的に「不安」「心配」と「悩み」のニュアンスを解説します。

「不安」「心配」とは

不安と心配は似た意味を持ちますが、対義語を考えると理解し易いです。
不安、心配の対義語を調べると「安心」という言葉が出てきます。

安心を辞書で調べると

不確実性が無く心が落ち着いている状態

つまり「不安」「心配」とは問題が不確実で心が落ち着かない状態です。
人は何事も「分からない」から不安になります。

例えば受験で不安になるのは出る問題が分からないからです。
逆に問題があっても対処法が分かれば不安は感じません。

極論を言うと猛勉強して大方の問題を解けるようにすれば
不安は感じない訳です。

そして「不安」「心配」は解決策を考えても仕方ありません。
先ほどの例で行くと「解けない問題が出たらどうしよう…」と考えるのは無意味です。
起きるかどうかも不確実であり、自分ではコントロール出来ないからです。

「不安」「心配」の補足

厳密に言うと「不安」「心配」は少し意味が違います

不安:問題の原因や対象が漠然
例) 将来が不安だ。

心配:問題の原因や対象が明確
例) 明日の天気が心配だ。

ここではどちらも時間軸が未来で
コントロール出来ない問題だと理解すれば大丈夫です。

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「悩み」とは

悩みを辞書で調べると

精神的に苦痛・負担を感ずること。そう感じさせるもの。

悩みには
・恋人との関係が上手く行かず悩んでいる
・大学受験に向けて勉強しているが中々成績が上がらない
・新しい仕事に転職するべきか悩んでいる

など、様々なものがありますが
これらは「現在」私たちの心を苦しめる問題なのです。

そして「心が苦しい」という結果が存在する以上
原因があり適切な解決策があります。

そしてその解決策は
・まだ見つかっていない
・分かってはいるが実行する勇気が出ない
という場合があるでしょう。

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「悩み」の補足

悩みには原因があり解が存在すると述べましたが
・解決できない悩みもある(=それは悩みでは無い)
・必ずしもポジティブに解決できる訳ではない
ことを補足します。

例①
大学受験に向けて勉強しているが中々成績が上がらず悩んでいたA君

A君は必死に勉強し、徐々に解ける問題も増えてきました。
しかしいくら勉強しても「無事大学に合格できるか」という悩みが消えません。

この例ではA君は悩みと不安を混同しています。

成績が上がらないという悩みは勉強で解決することが出来ます。
一方で大学に合格できるかという結果は神様しか分りません。

それはコントロールできない問題であり、もはや悩みではなく不安なのです。

例②
恋人との関係を修復しようと努力するBさん

Bさんは冷めきった彼氏との関係をどうにかしたいと悩んでいました。
頻繁に連絡を取ったり、旅行を企画しましたが彼氏との仲は一向に良くなりません。

この例はコントロールできる範囲の限界を示しています。
確かに悩みとは自分の力で解決していくことができます。
しかしあくまで自分が変えられる領域に限ります。

いくら自分が解決しようと思っても、相手がそう思っていなければ解決できないこともあります。
この場合は悲しいですが別れるという選択が肯定的な解決になるでしょう。

コントロールできる世界を変えていく

「不安」「心配」「悩み」の違いをまとめると以下のようになります。

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お伝えしたいことはこれら3つを適切に区別し
コントロールできる世界に集中するということです。

「不安」「心配」はそもそも起きるかどうかも不確実であり
コントロールできない問題のため、恐れる必要すらありません。

仮に「老後資金が心配だ」という不確実な未来を解決したければ
・なぜ老後資金が心配なのか?
・どれくらいのお金があれば心配は消えるのか?
のように具体化して自分事に捉えましょう。

つまり不安を悩みというコントロール可能な世界に引っ張り出すのです。

また、悩みは必ずしもポジティブに解決できるとは限りません。
・解決策を思考したが見つからなかった
・人の手も借りたが諦めるしかなかった

しかし、それはそれで良いのです。
コントロールできない問題だと気付けたことが収穫です。

心が苦しいときは自分が3つの内どれに苦しんでいるのか
認識することが大切です。

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